チョコのかわりに

学生パロです。

毎年この日は、1年の中で最もうんざりする日。

幼馴染の私が隣にいて登校しているのに、周りの視線はニエルをチラチラ……

靴箱を開けるとバサッと落ちる大量のチョコやら手紙やら…

『うわ……』

「はは、俺モテモテだなー」

なんて言いながら落ちたチョコレートを拾う。

『よかったわね、今年もモテモテで』

「え、拗ねてる？」

『そんなこと、』

あるけど……

でも毎年のことだし、なんか見慣れたかも。

「で、チョコは？」

『は？』

片手で他の女の子からの大量のチョコを抱えて、空いた片手は私のほうに差し出して、

「くれないの？」

『たくさんもらったじゃない』

「今年は本命チョコしか受け取らないことにした」

にっこり笑ったあとにまっすぐ私を見据える。

『それ、みんな本命チョコだと思うけど』

「本命なら直接渡してくるものでしょ？それに、好きな人からもらうチョコが一番嬉しいものだよ？」

『だからってなんで私に…』

「まだわからないの？

君が好きなんだよ」

暗くなる視界。

バサバサとチョコが落ちる音。

ニエルの腕の中にいるって気付くまで少し時間がかかった。

「ねえ、返事……」

『…毎年本気チョコあげてたのに』

「だよね、ごめん」

『わかってたの？』

「いや、気付いたのは最近かも」

『………す、き』

腕の力が少し強くなって、

「ん、俺も」

そっと、私からも抱きしめ返す。

やっと、想いが届いた。

ﾁｮﾝｼﾞ「ﾋｭ〜♪朝からアツいね〜2人とも」

ニエルの部活の先輩が通って我に返る。

ここ、学校だった…しかも玄関……

一気に顔が熱くなる。

登校する生徒の視線が痛い。

泣いてる子もいる。ニエルのファンかな

「うるさいっすよ、先輩」

照れたニエルが返事をする。

『ほ、ほらっ授業始まるっ。チョコ拾わなきゃ』

私も顔を逸らすようにしゃがみ込んだ。

今年は1年の中で最も幸せな日になった。

「てかチョコくれないの？」
『ごめん、今年は他の子に勝てる気がしなくて…』
「えっ、ないの!?」
『き、今日帰りに材料買って……んっ』
「…これでいいや、ごちそうさま」
『っ/////ここ学校だってば！』