ちゃんななにえる

きゃしーです。TEENTOPの天使ニエルの妄想炸裂溺愛中の変態です。@TT_cathy

June Bride

仕事がオフの日、友人とカフェにいた。



ふと、会話が途切れた時、


「ねえ、あれTEENTOPのニエルじゃない?」







私がニエルと付き合っているのは誰にも話していない。


それは、彼の仕事を守るため。

それに話したところでたぶん、妄想だと思われるに違いない。


『へえー、こんなところで見れるなんてラッキーだね』



それほど興味がないフリをして返事をしたあと、友人の視線の先を見て、私は目を疑った。






でもそこにいたのは間違いなくニエルで、


ニエルの隣には、スタイルがいいいかにも綺麗な女の人がいた。


「あれ彼女かなぁ…サングラスしてるってことは彼女も芸能人?」




”彼女”は私なのに。



そういえば、ニエル今日仕事だっていってたっけ。





ああ、ニエルも男だったんだ。


浮気をされたことと、平然と嘘をつかれたことが胸にぐさぐさと突き刺さる。






『ねえ、今日飲みに行こう』


「今から?まだ18時だよ?」


『いいじゃんいいじゃん、たまにはね!』



半ば無理やり友人を巻き込んで、ヤケ酒をした。








数時間後、



「ちょっとあんた飲み過ぎじゃない?」


『うるさいなぁー今日はとことん飲むって決めたのー!』


ああ、自分が出した大声が頭に響いてガンガンする。


今日、家に帰りたくないや。


今日はニエルに会いたくない。




止める友人の言葉を聞かずに酔い潰れた私は、友人の家に泊まった。









お昼近くに目が覚め、完全なる二日酔いが襲う。


『あー、頭痛い…』



「あ、起きた。あんたさ、寝言で何度もニエルニエルって言ってたけど、そんなにアイドル好きだったっけ?」



私、そんなこと………


寝言だとそんなにも素直に求めてるんだ。


ううん、私やっぱり、ニエルじゃないと嫌だ。




気がつくと次々と涙が溢れてきた。


驚く友人に、ニエルと付き合っていることを話すと、そっか、とすんなり信じてくれ、

「早く帰りな?こういう話は早いほうがいいよ」


と背中を押してくれた。








ガチャリ………


家のドアがいつもの何倍も重く感じる。




『た、だい、ま………』


「ヌナ…?」



ニエルはまだ家にいた。

とりあえず、昨日の女の人といたら、という不安が消えた。




「どこ行ってたの!!連絡してもぜんぜん繋がらないし、心配したんだから!!」


私の顔を見るなり声を上げるニエル。



『心配…?私のことなんか何とも思ってないでしょ?』


「え、ヌナ?」



違う、こんなことが言いたいんじゃなくて……


『私の心配するよりあの女の人のところに行けば?』




正反対のことばかり口走る。


堪えきれず涙が頬を伝う。


「あの女の人って?」


ニエルは私を見て驚いたようで、俯く私の顔を覗き込んだ。



『見たんだから!昨日、街でっ……浮気…っ…してるの』



「あー………まじか……」


ニエルはため息をついて私を離れてどこかへ行ってしまった。




ああ、私とうとうフラレるんだ。


そう確信した途端、涙がとめどなく溢れ出して、その場に崩れるようにしゃがみ込んだ。




「ヌナ、聞いて欲しいことがあるんだけど」



いつの間にか戻って来ていたニエルは私の目の前で正座をしていた。





土下座でもする気?

それとも今更言い訳?


そう思うと少しずつ怒りが込み上げてきて、赤くなった目で睨み上げた。



すると目の前にあったのは、きらりと光るエメラルド色の小さな石がついた、指輪。


『何よ、これ』



「まだ、本物はあげられないけどさ……」



私の右手をとって、薬指に指輪がはめられた。


「よかった、ぴったりだ」



突然のことについていけない私は、何も言えずただニエルを見た。





「今日は僕達が付き合って1000日記念日だよ?こんな形で渡すことになっちゃったけど」



綺麗な指輪。

素直に嬉しかった。



でも、


『昨日のこと、説明して』




大事なことを忘れそうになっていた。


「携帯みてくれればわかると思うんだけど…」



携帯?

そういえば昨日のあれを見てから、マナーモードにしたままカバンの底に入れっぱなしだった……



見ると、たくさんのニエルからの着信と、


メール…?お姉ちゃんからだ………



Sub:no title
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あんたの彼氏借りたわよ♡
いい彼氏もったわね(^_-)-☆







『なに、これ……』


どういうこと?

借りたって…?

確かにお姉ちゃん背は高い方だけど

だって昨日の人お姉ちゃんに見えなかった………



未だに状況が理解できない。


「ヌナのご両親、僕の親に挨拶に行ったことがあるみたいで、僕も会ったことあるんだ」


『そうだったんだ……』



「昨日は、お姉さんにこれ選ぶの手伝ってもらってんだ。お姉さんってば、ウィッグにサングラスできたから僕も驚いちゃったんだ」




『なんなの、それ…っ』



真実は、あまりにも単純だった。




勢いよくニエルに抱きつくと、耐えきれずに後ろに倒れそうになったのを片腕で防いだ。



『ばかばかばか!ニエルのばか!私がどんだけっ……』



傷ついたか………


でも、勘違いしてたのは私で。



「傷つけちゃったね、本当にごめん」


空いていた片腕が背中に回ってきて、ぽんぽんとあやすように叩く。



その腕は全てを包み込んで。


不安な気持ちがすーっと消えていく。



『私、ニエルじゃないと嫌だから。離れたらどうにかなりそう』


「そんなの僕だって。指輪、いつか本物を左手につけるまでそれつけてて」



『ありがとう、ニエル…大好き』


「うん、愛してるよ」




仲直りの、涙の味がするキスは、今までで一番甘かった。







* * * * *


June Bride

結婚してないんですけどね^^;

婚約の予約 みたいな話になったので……