ちゃんななにえる

きゃしーです。TEENTOPの天使ニエルの妄想炸裂溺愛中の変態です。@TT_cathy

Umbrella

『あーやっぱり降ってたか…』


朝の天気予報はやっぱり当たっていた。


走って帰るのはちょっと無理があるくらいの夕立ち。


向こうの空は雨雲がなくて明るい。

この辺りもすぐ晴れるんだろうけど。



『傘持ってきてよかった、』




傘を広げて駅までの道を歩く。






「俺も入れて」


『え?あっ…』



振り返ったのと同時に傘が手元から離れて高くなった。



「ニエル、」



見上げるとそこにあったのは後輩のニエルの顔。



雨の音で走ってきてたの気付かなかった…





会社を出てから数十メートル。


その間に振られた雨で、髪と肩が少し濡れていた。





ニエルに傘を持たせたまま道を歩く。





『傘持ってなかったの?』


「うん。だって朝すごく良い天気だったじゃん」


『天気予報見て来なかった?ていうか敬語使いなさいよ』



私にだけいつもタメ語なんだから。


ほんと生意気。





「もっと寄って、濡れるよ」


私の言葉は華麗にスルーされ、傘から少しはみ出た肩を内側へと寄せられた。




ち、近い………


不覚にもドキドキしてしまっている。


触れられた肩がじんわり熱い。



変な顔になってないか心配で、少しだけ俯いて歩く。


背が高いニエルからは私の顔は見えないはず…





「先輩顔赤くない?どうかした?」



屈んで目の前に現れたそれは、心配している表情ではなく、絶対にわかってるというにやけ顔。



『どうもしない。ていうか狭いんだけど』


「だから寄ってって言ってるじゃん。照れてる?かわいー先輩」



『うっさい、一人で帰る?』


傘を奪いとって肩でニエルを傘の外に追い出してみる。



「風邪ひいちゃうじゃん、先輩看病しに来てくれるの?」



『何とかは風邪ひかないっていうから大丈夫よ』



「ひどいなー先輩」



すぐ傘の中に入ってきてまた傘が高くなる。








『ねえ、手、離してよ』


持ち手の部分とそれを握っていた手ごとニエルに掴まれて、2人で傘を持っているというなんとも不自然な格好になっている。




「俺が傘持ってたら手繋げないじゃん」


『なんで繋がなきゃいけないわけ、』


「繋ぎたいから」


『なんでよ、』









「そんなの、好きだからじゃん」





『は…?』



思考停止。


この生意気な後輩は今なんと…?







「先輩だけだよ、気付いてないの。他の社員みんな知ってると思う、俺が先輩好きなこと」



口をぽかんと開けている私を見て、くすくす笑うニエル。




「まあ先輩が顔赤くしてた時点で返事は確信してたけどね」


『いや、まだ何も言ってないけど』


「じゃあ言ってよ、返事」



『えっ、その…ぇっと…………あ、雨あがってる!』


「あっそらされた!ま、いいかー」



傘をとじてさり気なく繋ぎ直された手。





その大きな手を、何も言わずに握り返した。








「やっぱかわいー先輩」


『うるさい』