ちゃんななにえる

きゃしーです。TEENTOPの天使ニエルの妄想炸裂溺愛中の変態です。@TT_cathy

君の専属

”今日のお客様はオーナーのお得意様の息子だから、失礼のないようにね"

『はい』



色とりどりのネオンが輝く街、

お店の奥のVIPルームで一人待つ。


背中がざっくり開いたタイトなロングドレス。


こんなの着たの初めて…



窓ガラスに映る自分を見る。



『意外と似合ってるじゃん、』




ガチャ、


背後のドアが開く音がして背筋が伸びる。




「こんばんは」


ゆっくり声がする方へ振り返ると、

黒いスーツを着た、背の高い細身の男の子。




『よろしくお願いします』


名乗って軽く会釈をすると、


「はは、カタいなぁ」



ネクタイを緩めながら近付いてきた。


反射的に後退るけど、すぐに窓際に到達して距離が縮められてしまった。




「僕はダニエル。よろしくね」



『んっ』



挨拶代わり、にしては深くて熱い口付け。




巧みな舌に応えるのがやっとで、頭がぼんやりしてくる。


深く舌を絡め、歯列をなぞり口内を舐め回すようなキス。




唇が離れ、私は一つ息をつく。



『キス、上手ですね』


濡れた唇をわざとらしく舐めて、余裕な”フリ”をして言う。



彼は私の腰やお尻をいやらしく撫でて、少しずつ胸まで上り詰めてきた。



「そりゃあ、常連だしね」

にやりと笑うと、ドレスの上から胸の膨らみを大きな手で包む。




『あっ、』




思わずぴくりと肩が震えた。



その瞬間を見逃さなかった彼が手をとめた。






「君って、ここ何日目?」




『んっ、今日から、です…』




真っ直ぐ見つめるその視線を、思わず反らしたくなった。




「へえ、こういう仕事初めてなの?」


『ま、ぁ』



全部、見透かされているような瞳。









「H、したことある?」



な、なに……


『ある、よ』


「ふぅん、ま、いいけどさ」





嘘を、つくしかなかった。



本当は、私に男性経験なんてない。




「今日はもう帰ることにするよ」


『…どうして』



「気分が乗らないんだ、これだけ置いていくよ」



側にあったサイドテーブルに置かれたお金。


どう考えてもコース料金より上額だし、彼からお金を貰うなんて聞いてない。



『いただけません』


テーブルの上のそれを掴んで彼に向ける。


彼は、緩んだネクタイを締め直しながら耳元に顔を寄せてきた。


「オーナーには黙ってるから、それは貰ってよ。困ってるからって、自分の身体を売ったりしたらだめだよ」



『なにそれ、ここの”常連”のくせに。私はこういうことしちゃいけないの?』


自分に魅力がない、そう言われてる気がしてむきになって言い返した。






「なんでかな、君には自分の身体を大事にして欲しいと思ったんだ。ちゃんと好きな人と触れ合う幸せを感じて欲しい」



どこか切なそうな笑顔を私に向けた。


『あなたは、感じたことあるの?』


「…あるよ」



あれ、今一瞬表情が曇ったような……





なんだか、調子が狂う…






「そうだ、」



少しだけ目を見開いて、何かひらめいたような顔を浮かべた。



「君、僕の専属になってよ」


『は?』



「明日からは私服でここにおいで。もちろんお金も払うから。オーナーには僕から言っておくから」





ぽんぽん、と頭を撫でると、私に背を向けて部屋を出て行った。


『拒否権なし、って訳』




ふとさっきのキスを思い出して顔が熱くなった。




あの人は優しい人なんだ、と根拠もなく感じた。



私は明日からもこの店にいる。


あの人の、ダニエルの専属として。