風邪
風邪をひきました。
のどが痛くて頭がぼーっとする……
今日は会社休んどこう……
会社に連絡したあと、ニエルにメールした。
〔To ニエル
ごめん、風邪ひいちゃった
うつすといけないから今日来なくていいよ〕
送信。
すぐに電話が鳴った。
「ヌナ!大丈夫!?」
『あ ニエル…うん、今日仕事休んで寝てるから…』
いつも通りの声が出せない…
「今からヌナの家行くから!何か欲しいものある?」
『え、来ないでってメールしたのに…』
「行かないわけないでしょ?ほら、鍵開けて?」
『え?』
ピンポーン
まさか、と鍵を外してドアを開けると
『ニエル……』
なんて行動力なの…
「顔赤いね、熱は?」
『微熱程度…』
「油断したらダメだよ。はやくベッドいって」
背中を押されておとなしく布団にはいる。
ベッドの横に腰をおろしたニエルは、持ってきたビニール袋の中から清涼飲料やのど飴、ゼリー、風邪薬など、いろいろなものを出した。
『ニエル、うつっちゃうから、ほんとに帰っていいよ』
「やだ」
頑なにその場から動こうとしないニエル。
「風邪ってさ、人にうつすと治るって聞くよね」
ベッドの縁に頬杖をついて話し始めた。
『そうなのかな……っ』
軽く触れた唇
もぉ、
『うつっても知らないよ?』
「そしたらヌナが看病しにきて」
ほんと、君には敵わないなぁ。
熱のせいなのかなんなのか、顔が熱くなる。
「あ、熱あがってきたの?」
『ばっ、違うからっ』
「顔が火照っててさ、すごい色っぽい」
『な、何言って…』
「水分補給もしないとね、」
ペットボトルのふたを開け、自分の口に含んだあと、そのまま私の口に運んできた。
『んっ』
伝えきれずに口から溢れて枕に滲みる。
ごくん、と運ばれた水分を飲み込むと、舌が絡まり深いキスへと変わった。
『あっ、に、えっ』
唇を離したあとに、いやらしくぺろりと唇を舐める。
「ふっ、顔えろ…」
『にえる……』
頭がふわふわする…
「ちょっと寝る?」
『うん…』
ゆっくり目を閉じる。
布団の中から手を出して、ニエルのほうにのばす。
「手もちゃんとしまってて」
手を握ってそのまま一緒に布団のなかに入れた。
後日。
〔ヌナ、風邪ひいたから看病しにきて〕
とメールが届いた。
すっかり完治した私は、ニエル同様いろんなものを買い込んでニエルの家へと向かう。