夢と本物 ※
撮影見にきてよ、そう言われて訪れたテレビ局。
楽屋に案内されてドアが閉まると、ドアに押し付けられるように唇が塞がれる。
ニエルの手に後頭部を押さえられ、もう片方の手はドアのカギを締めたあとブラウスの中に忍ぶ。
『ふぁっ、ニエ…』
わずかに空いた唇の隙間からしか抵抗ができない。
ブラのホックを外され、それごとブラウスがまくり上げられる。
露になった胸を大きな手が優しく包む。
『はっ、ニエル…!こんなとこでっ』
ようやく解放された口で、必死に抵抗する。
ニエルは何も口にせず、膨らみの先端に舌を這う。
『あ、んっ…だめ』
スカートは履いたままに、下着をおろされる。
「ふっ、もう濡れてるよ?」
言われなくても自分でもわかった。
ニエルの指がなんの抵抗もなく中に入り込んでくる。
『あん、っ』
「声、抑えたほうがいいかもね」
はっとした。
ドア1枚の向こう側はテレビ局の廊下で、言われてみれば通る人の足音とか話し声が聞こえてる。
手で口を押さえて、これ以上声が漏れないように必死に絶える。
相変わらず中をかき乱すニエルの指が激しさを増してきて
『んんっ、ん』
鼻から漏れる声を抑えられない。
もう限界…
『やだっ、あんっ』
───────…………
遠くで声がした。
遠くというか、自分の声…?
目をうっすら開けると薄暗い部屋。
『寝言……?』
「おはようヌナ。全然朝じゃないけど」
あれ、ニエル?
「夢見てたでしょ?」
夢……
今のは全部、夢…?
「なんの夢だったの?」
『そ、それは…』
ていうか私、寝言で何を……?
今見てた夢の内容なんて、恥ずかしくて言えない…
「同じことしようよ」
内容を見透かされているような口振り…
夢の中では、たぶん果ててない。
その前に目が覚めたと思う。
夢の内容をまだ鮮明に覚えているから私も確かに物足りない気持ちというか…
『えっちなこと、したい。ニエル…』
「知ってる」
言い終わる前に重なる唇。
本物の感触は、夢には敵わない。
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