思い出は2人で
布団から出た肩に寒さを感じて目が覚めた。
え、私服着てない…?
「起きた?」
『え…ニエル?』
「やっぱり、何も覚えてないよね…」
頭痛い…
昨日酔ってニエルに告白したところまでは覚えてる…
その後一体何を…
「先輩って意外と大胆だね」
そう言うニエルも服を着てない。
『嘘…もしかして私……』
何にも記憶がないけど、ニエルと…
「安心して、してないから」
『じゃあどうして…』
「絶対起きたら記憶ないだろうなって思って僕からは何もしてないよ。僕だけ覚えてるなんてそんなの寂しいでしょ?あの後ベッドに連れ込まれてキスされて先輩服脱ぎ出してさ…」
私ったら……恥かしい……
「それなのに急に一人で寝ちゃうんだもん」
これ以上聞くのこわいけど…
『ニエルは?どうして服着てないの…?』
「これは、演出?(笑)」
『そんな演出いらないんだけど』
「先輩、昨日どこまで覚えてるの?」
真面目なような寂しいような表情で問われる。
『帰りたくないって言った』
「そのあとは?」
『好き、って…』
言っちゃってたよね…
「それは覚えてるんだ。じゃあ、僕も好きって言ったのは?」
『え、知らない…』
「そっか、残念。じゃあもう一回言うね。僕先輩のこと好きだよ」
『…ほんと、に?』
「ほんと。だから先輩の気持ちももう一回」
『…好き。ニエルが好き』
「よかった、嘘じゃなくて」
頬に手を添えて優しくキスされた。
「今のが僕たちの初めてのキスだよ?思い出は2人一緒じゃないと」